山だけは相続したくない!いらない山林はどうすればいい?

あの山だけは相続でいらない!

そんな方は案外多いかもしれませんね。

ここでは、そんな方の為にいらない山の扱い方についてみていきます。


山を相続したくない!いらない山の扱い方

プラスの財産も含めて、トータルで考える必要性がありますが、所有者がまだ生存していて、意思がはっきりしている場合は、別途方法があるので、それについては別記事で説明します。


ここでは基本ベースのお話をしていきます。

基本的には相続をしない、いらない山を手放す方法は4点です。

  • 相続放棄
  • 相続財産国庫帰属制度
  • 自治体等への寄付
  • 第3者への売却、贈与

  • これらを踏まえて以下で見ていきます。

    山林を相続したくないのですが、どうしたらよいですか?

    山林を相続したくない場合、まずは「相続放棄」を検討することが重要です。

    相続放棄とは、相続人がその相続財産を受け取る権利を放棄する手続きのことです。相続放棄を行うと、その財産に関する権利や義務が一切なくなります。ただし、相続放棄には家庭裁判所への申請が必要であり、相続開始から3か月以内に申請しなければなりません。

    また、山林の維持管理が負担になる場合は、他の相続人と協議して売却や寄付を検討することも可能です。自治体や国が一定の条件を満たせば山林を引き取る制度もあるため、後述のセクションで詳細を説明します。

    山を相続するリスクは?

    山林を相続する場合、以下のリスクが考えられます。

    維持管理費の負担:山林の管理には定期的な草刈りや森林保全が必要です。これらの作業には費用がかかり、放置すると罰金が科される可能性もあります。
    固定資産税の支払い:山林には固定資産税がかかる場合があります。特に、利用価値の低い山林でも税負担が生じることが多く、その支払いが継続的な負担となります。
    資産価値の低下:過疎地や都市から遠い山林は、価値が低下する傾向にあります。売却しようとしても買い手が見つからず、結果的に不動産の負動産化(負の資産)になる可能性があります。
    これらのリスクを事前に理解し、相続するかどうかを慎重に検討することが重要です。

    山を相続するメリット

    山林の相続にはいくつかのメリットも存在します。

    木材資源としての活用:相続した山林が商業価値のある木材資源を含んでいる場合、その資源を利用して利益を得ることが可能です。特に、森林資源を持続可能な形で管理すれば、将来的に安定した収入源となる可能性があります。
    自然保護活動への貢献:山林を管理し続けることで、地域の自然保護や環境保全に貢献することができます。これにより、地域のエコシステム維持や生態系保護に寄与することができます。
    観光資源としての利用:場合によっては、相続した山林を観光地として開発し、レジャー施設やキャンプ場などとして活用することも可能です。適切に開発すれば、観光収入を得る手段として利用できる場合もあります。

    山林の相続放棄のデメリットは?

    相続放棄は一見して問題解決のように思えるかもしれませんが、デメリットも存在します。

    他の相続財産も放棄する必要がある:相続放棄を行うと、山林だけでなく、すべての相続財産(預貯金や不動産など)を放棄しなければなりません。選択的に相続財産を放棄することはできないため、メリットのある財産も同時に放棄するリスクがあります。
    放棄した山林の管理責任が残る可能性:相続放棄をしたとしても、山林が完全に管理されないまま放置されると、地域の自然災害の原因になる可能性があり、最終的には自治体や近隣住民に迷惑をかけることになります。

    相続で取得した山林を一定要件を満たせば国が引き取る制度〜相続財産国庫帰属制度〜

    相続財産国庫帰属制度とは、相続人がいない場合や相続放棄が行われた場合、相続財産が一定の要件を満たせば国が引き取る制度です。特に、不要な不動産や管理が難しい土地を手放すための制度として、2023年4月から導入されました。この制度を利用することで、維持管理が困難な山林を手放すことが可能になります。

    この制度を利用できる要件
    相続財産国庫帰属制度では、すべての不動産が対象となるわけではありません。国が引き取るには、いくつかの厳しい条件が課されています。以下がその主な要件です。

    土地が通常の管理や利用に過度な負担を伴わないこと

    山林が危険な状態や不適切な管理が行われていないことが前提です。たとえば、土砂崩れや水害の危険が高い地域にある場合や、すでに荒廃していて回復が難しい状態では国庫帰属制度の対象外となります。
    境界が明確であり、登記が正確に行われていること

    山林の境界が不明確で、隣接する土地との境界争いが発生する可能性がある場合、この制度の利用はできません。法的に整備された登記が必要です。
    不動産に担保権や使用権などが設定されていないこと

    その土地に対して抵当権や借地権などの権利が設定されている場合は、国はその不動産を引き取ることができません。これにより、未払いの負債がかかっている土地や、第三者が使用している山林は対象外となります。
    除去費用がかかる建物や構造物がないこと

    土地上に建物やその他の構造物がある場合、その撤去費用が発生するため、国が引き取りを拒否するケースがあります。無人の家屋や危険な建物が山林に存在する場合は、事前に撤去しなければなりません。
    手続きの流れ
    相続財産国庫帰属制度を利用する際の手続きの流れは以下の通りです。

    法務局への申請:まず、土地の相続人や相続放棄をした人が、法務局に対して国庫帰属制度の申請を行います。申請書には、山林の所有状況や管理の履歴などを記載します。

    法務局による審査:法務局が提出された書類と現地の状況を基に審査を行います。要件に合致するかどうかが厳しくチェックされ、場合によっては追加の書類提出や補足説明が求められることもあります。

    費用の支払い:国が山林を引き取る際には、管理費用や調査費用として手数料がかかります。この手数料は相続人が負担する必要があり、相続放棄を希望する山林の状態や面積によって異なります。大規模な土地や管理の負担が大きい土地については、高額の手数料が発生する可能性があります。

    国による引き取り:審査が通り、手数料の支払いが完了すると、その山林は国が正式に引き取ります。これ以降、相続人にはその山林に関する管理責任や費用負担が一切なくなります。

    制度の利用における注意点
    この制度は相続人がいない場合や、どうしても山林を相続したくないというケースで有用ですが、利用する際には以下の点に注意が必要です。

    すべての土地が対象ではない:先述した通り、要件を満たさない場合は、相続放棄をしても国に引き取られないことがあります。その場合、最終的には土地を管理し続ける責任が相続人に残ります。

    手数料の発生:国が山林を引き取るためには、手数料が必要です。この手数料は相続放棄を検討している土地の状態によって異なりますが、相続人にとっては追加の負担となるため、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

    事前の相談が必須:国庫帰属制度を利用する前に、法務局や専門家に相談することが推奨されます。手続きが複雑であり、必要な書類の整備や準備が欠かせないため、プロフェッショナルの支援を受けることでスムーズに進めることが可能です。

    相続財産国庫帰属制度は、相続人がいない場合や、相続したくない不動産がある場合に有効な制度です。山林の維持管理が難しい場合、この制度を利用して国に引き取ってもらうことで、負担を軽減することができます。しかし、要件や手数料などの条件が厳しいため、事前の準備と専門家の助言が重要です。

    山林の寄付を自治体へできるか?

    山林を自治体に寄付することは可能ですが、自治体によっては受け入れが難しい場合がほとんどです。

    特に、山林が過疎地にある場合や、管理コストが高く見積もられる場合は、寄付を受け入れないことがあります。

    寄付を希望する場合、まずはその山林が地域の公共の利益にどう貢献できるかを検討することが重要です。

    例えば、自治体がエコツーリズムや自然保護活動を行っている場合、その山林がその活動に適していれば、寄付を受け入れる可能性が高まります。

    寄付を行う前に、事前に地元自治体との協議が必要です。また、寄付に伴う手続きや費用についても確認することが大切です。


    山林相続を放置するとどうなる?

    山林の相続を放置することには、いくつかの深刻なリスクがあります。まず、相続人が明確でない場合や相続手続きを行わなかった場合、相続登記がされないため、山林の所有者が不明確になります。これにより、後々トラブルになることがあります。

    また、相続を放置した結果、固定資産税の未納や管理不行き届きが問題となり、最終的には法的手続きを求められる可能性があります。特に、災害時や周囲の土地に影響が出る場合、管理責任が追及されることも考えられます。

    相続問題は放置すると解決が難しくなるため、早めに手続きを進めることが重要です。専門家に相談して、最適な解決策を見つけることをおすすめします。

    山を相続したくない!いらない山についてまとめ

    山林を相続したくない場合、相続放棄や寄付、相続財産国庫帰属制度を活用する方法があります。相続放棄は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申請が必要で、他の財産も放棄するデメリットがあります。また、山林の相続には維持管理費や固定資産税の負担、資産価値の低下といったリスクがある一方で、木材資源や観光資源としての活用、自然保護活動への貢献などのメリットもあります。

    相続財産国庫帰属制度は、相続人がいない場合や不要な山林を一定の条件下で国が引き取る制度です。申請には、法務局での審査や手数料が必要で、土地が安全かつ適切に管理されていることが条件となります。山林の寄付も検討できますが、自治体によっては受け入れが難しいこともあります。

    放置した山林は、固定資産税の滞納や管理不全によるリスクが生じるため、早めの対応が求められます。最適な選択をするためには、事前に専門家や自治体に相談することが重要です。







    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です