消滅可能性都市に不動産を所有している、将来的に相続する・・・
といった方々は、消滅可能性都市の不動産価値について気になりますよね。
至極当然です。
私自身もその立場にありますから。
若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」と定義しました。
今後、消滅可能性都市の不動産を所有していても良いのかどうか?
どうすればよいのか?
基本的な答えは
「すぐに処理しておくこと」
であります。
全てに当てはまるわけではありませんが、ある程度見えてきてしまっている消滅可能性都市の不動産価値についての判断方法と、その後の対応策について、不動産売買の現場のプロがお伝えします。
消滅可能性都市の不動産的価値
当然のことですが、人口が減少する=需要が減少する ⇒ 価格は下落する
この経済の基本公式は成立します。
需要と供給のバランスが物の価格を決めるという基本的ルールを理解しておけば、自分の不動産についても色眼鏡を通さなくても済みやすいと思います。
また、いま日本はインフレになるのが現在の流れですが、消滅可能性都市の不動産の相対的価値は確実に減少していきます。
インフレ=物の価格が上がっていく 訳ですが、今の1万円が将来的には今の1,000円位の価値になるので、その点は考慮しておかなければいけません。
戦後昭和の時代の初任給が5円とかいう時代から、昭和後期には20万円となっていた形と同じですね。
仮にその不動産の価格が現在10万円で、2050年に20万円になっていたとしても、その20万円の相対的価値は今現在の2万円位かもしれないのです。
そして、その当時と圧倒的に違うのは、人口が増加していた時期であり、消費力がどんどん上がっていた点です。
今後は不要な物と必要な物の差が激しく現れていく時代ですから、もうすぐにでも所有する不動産については何かしらの判断をしておく方が良い事が多いはずです。
要は、消滅可能性都市の不動産的価値は無くなってしまう可能性があるので、負動産化する前に判断が必要なのです。
消滅可能性都市の不動産についての判断基準
消滅可能性都市の不動産についての現場のプロの判断基準を、お伝えしましょう。2つの判断基準
- 立地適正化計画
- 小学校の統廃合計画
ご存じかと思いますが、今の政治は基本的に問題を先送りする事しかましません。
構造上仕方が無いのですが・・・
それでも既に自治体レベルでは判断がある程度されています。
完全に鵜呑みにはできませんが、概ねその通りになるでしょう。
それが「立地適正化計画」という、自治体レベルで策定されている、街の未来図です。
そう、既に新たな線引きはされているのです。
調整区域と市街化区域が線引きされたように、自治体では決められているのです。
各自治体のHPで確認できるケースが多いので、確認してみましょう。
そしてもう一つが小学校の存在ですね。
小学校が無いような地域には人(家族)は定住しません。
なので、その地域の小学校の生徒数や、人口動向、統廃合の動きなど自治体のHPなどでチェックしてみましょう。
この2点が大きな判断材料となります。
※厳密には空家率や所得層、地域の産業などの分析も必要ですが、概ね上記の2つで判断できるはずです。
また、現在であれば価値があると判断できる場合は、プロにその価値を査定してもらい価値を把握しておきましょう。
現在価値と将来需要の判断をすることが重要なのです。
判断ができたなら取るべき行動
消滅可能性都市の不動産についての行動
- 今のうちに売却
- 0円で誰かにあげる
- 有料で引き取ってもらう
- 相続土地国庫帰属制度
この順番でその処分を検討しましょう。
もちろん、自身の身内の誰かが利用するなどの、利用価値などがあるのであれば処分する必要はありませんが、日本全体の流れとして、所有しているだけで負動産化するだろうと判断しておくべきです。
消滅可能性都市の不動産的価値を具体的に調べてみる
消滅可能性都市の不動産的価値の確認方法を紹介します。
まずは、その都市の将来性を調べるのがポイントです。
順番としては以下の通りです。
1.消滅可能性自治体かどうかの確認
2.現在価値の確認
3.その地域の立地適正化計画の確認
4.小学校の児童数や子供の数の推移予想の確認
5.20年後を予測する
2.現在価値の確認
3.その地域の立地適正化計画の確認
4.小学校の児童数や子供の数の推移予想の確認
5.20年後を予測する
例として以下の物件についてみていきます。
【物件概要】※古屋付土地となります
場所:香川県さぬき市志度2689付近
土地:200㎡
建物:一軒家
構造:木造2階建て(s.48年築)
現況:空き家
場所:香川県さぬき市志度2689付近
土地:200㎡
建物:一軒家
構造:木造2階建て(s.48年築)
現況:空き家
という不動産です。
まず
消滅可能性自治体かどうかですが、
①今現在、消滅可能性自治体です。
②現在価値は㎡18,000~20,000円程度
③立地適正化計画の都市機能・居住誘導区域外
④小学校は直線で800m程度、児童数も市内の小学校では一番多い
が14歳までの子供の数は現在の4500人から2,400人程度まで減少すると予測されている。
総人口も44300人から31400人程度へと予測されている。
⑤以上から、購買層の数も半減すると考えられるため、少なくとも20~30%は価格が下落するだろうと推測できる。
以上の様に、大抵の自治体についての判断ができる様になっていますので、参考にしてください。
因みに、立地適正化計画が無い地域は、そもそも町自体が既に存続が危ういケースも多く、人口などのDATAで判断する形となります。
消滅可能性都市の不動産価値と取るべき行動について
消滅可能性都市の不動産価値についての判断の仕方が、ある程度わかって頂けたと思います。基本的には、時間が経てば経つほどその価値は減っていきます。
いずれどこかでマイナスになる可能性が高いのが消滅可能性都市の不動産なのです。
自分の子や孫に負債を残さない様にしておくことが、重要である事を常に認識したうえで、自身の欲と戦いながら、処分方法を選択すると良いでしょう。
時代の流れは残酷なのですから。
会う度にその買う人をしています。