不動産の相続で トラブルにならないための知識

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相続した不動産について

相続した不動産について起こりえるトラブルとその要因について考えて見ましょう。

考えられるトラブル
  • 借地権の相続でのトラブル
  • 共有持分を相続してトラブル
  • 再建築不可物件を相続してトラブル
  • 境界非明示・不確定でのトラブル
  • 建物の老朽化によるトラブル
  • その他トラブル

これらについて見ていきますね。


借地権の相続でお困りの方々へ

相続により引き継いだものの、売却が難しく、悩みの種となることが多い財産の一つとして借地権があります。

借地権を相続した場合に起こりうる問題として

借地権は地主に返さなくてはならないのか

借地権は、どうすれば売却できるのか

といったものがあります。

まず、借地権を相続した場合、特別な契約がない限り地主に返す必要はありません。

ただし、原則として借地権を譲渡するには地主の承諾が必要となります。

地主に無断で借地権を譲渡した場合、地主は借地契約を解除できます。

しかし、契約で譲渡が認められていたり、譲渡承諾料が定められている場合もあります。

借地権に関する契約内容がわからなくなっていることは非常に多く、その問題が相続によって表面化することになります。

まずは、土地賃貸借契約書など借地権に関する書類を集め、内容をよく確認することが大切です。

地主との交渉で思わぬトラブル


借地権の相続では地主との調整が決定的に重要となります。

承諾を得ることができなければ、裁判により認められない限り、売却ができません。

深く考えず地主との交渉に臨み、悪感情を持たれたことで、まったく身動きが取れなくなることも多いようです。

契約書に譲渡承諾料が設定されている場合も安心できません。

たとえば、譲渡承諾料は借地権の〇%と設定されていたとしても、この借地権の価格をどのように計算するのかが明確ではないことがあります。

計算方法により承諾料の額が大きく変わるため、適切に話し合い、余計な費用をかけないようにしたいものです。

借地権は長期にわたることが多いため、更新時期がわからなくなっていることがあります。

また借地権を自動更新で継続し続けている場合には、いつ更新料を支払う必要があるのか、無駄に払っていないか、といったことを調べておいたほうがよいでしょう。

そして、法的に売却ができる状態になっても、エンドユーザーを探すことは簡単ではありません。

仲介会社にも借地権の取引経験がある人は少なく、市場価格もわかりにくいため、処分する意思はあるものの、なかなか動いていかないのが現実です。

借地権の処分については、地主への交渉、関連書類と契約内容の確認、また仲介によるエンドユーザー探し、買い手との調整、などが決定的なポイントとなります。

不動産の共有持分を相続 トラブル事例と解決方法とは?

不動産の相続において非常に多く発生する問題として、「共有持分」にまつわるものが挙げられます。

複数の相続人の共有となった土地や建物は、共有者間で意思が一致しないと、利用や売却などが制限されるからです。

そこで、不動産の共有持分を相続した場合の課題と、その解決方法について紹介します。

同意が取れず売却できないケースが続発

共有とは、1 つの財産に複数の所有者がいる状態を表します。

そのため、所有者間の意思の相違により様々な問題が発生します。

たとえば共有物の売却を行なうには、共有者全員の同意が必要です。

不動産を貸し付けるなどの管理は、持分の比率に応じ過半数の同意が必要となります。

遺産分割により兄弟等で土地や建物を共有にしたものの、意見が相違あるいは感情的なこじれにより、不動産を処分できなくなるケースが後を絶ちません

共有者の一人は現金が必要で、すぐに不動産を売却したいものの、共有者の一人に同意してもらえないといったケースが典型です。

2人の相続人が2分の1ずつで相続した場合などは、双方過半数の持分すら持たない状態となり、さらに困難な状況になります。

また、共有者が死亡し、二次相続が発生することで、共有者がさらに多くなることも考えられます。⇒ ねずみ講式に人数が増えていく

共有持分の問題は、早く手を打たないと事態はさらに悪化してしまうことになりかねないのです。

所有権を「1分の1」に持っていく


共有持ち分の問題の最終ゴールは、何らかの手段で、一つの不動産を 1 人で持つ「1 分の1」の状態に持っていくことです。

手段としては、相手方に共有持分を売却する方法、あるいは相手の共有持分を買い取るという方法が考えられます。

しかし、このような交渉は、感情面もからみ難しいものです。

また、共有持分の購入では借り入れを受けることが非常に難しく、金銭的事情から売買交渉が進展しなくなることもあります。

その場合、第三者である業者がいったん共有持分を買い取るという方法があります。

業者に持分を売ることで現金を得て、その後業者が相手方と相談して、持分の売買、あるいは不動産全体を合意の上、売却したりといったことを行なうのです。

なお、相手の共有持分を買い取ることも、自分の共有持分を売ることもできない場合には、「共有物分割請求」という手段もあります。

これは、共有者の一人が他の共有者に対して起こす裁判です。

認められれば共有関係は解消されます。

しかし、時間と裁判費用が掛かるのが難点で、ほかの手段が不可能である場合の最終手段といえるでしょう。

共有持分は、持分の売却や買い取り、第三者への売却等、共有物分割請求を含めた処分や運用の選択肢を一つひとつ検討し、他共有者との交渉や調整が重要となります。

再建築不可物件を取引するために知っておきたいこと


古い建物を敷地とともに相続した際、売却や建て直しを困難にする障害の一つに「再建築不可」があります。

再建築不可の土地は、建築許可申請が通らないため、新たに建物を建てることができず、当然、価値は低くなります。

当社にも、再建築不可の不動産を相続した方からの相談が寄せられます。

再建築不可の土地の売却はどのようにすればよいのか、考えてみましょう。

再建築不可の原因「接道義務」とは

再建築不可とされる最も多い原因は「接道義務」が満たされていないこと。

建築基準法では、原則として「幅員 4m 以上の道路に 2m 以上」接していなければなりません。

なお、この長さについては、様々な条件によって異なります。

接道義務を満たさない土地は、建築確認申請が通りません。

しかし、建築基準法施行以前に建てられていたり、もともと違法に建てられた建物も残っています。

そのような建物は、解体して建て替えることができませんので、売却を考える際、極めて困難な事態となります。

再建築不可の不動産は価格がつきにくく、しかも仮に買いたいという人がいても、金融機関の融資を受けるのが困難なため、取引に至らないことが多いのです。

再建築不可でも建築の方法はある?

では、接道義務を原因とした再建築不可の土地に、建物を建てることは絶対にできないのでしょうか?

じつは、可能性はゼロではありません。

未接道のうち、前面道路が建築基準法上の道路として認定されていない場合、特別な許可を受けることで建築できることがあります。いわゆる「ただし書」です。

また、道路に接する接道部分が短い場合、隣の土地を小さく譲ってもらえば、建築が可能になる場合があります。

10センチ程度の幅で、土地を薄く譲ってもらうことで、接道義務をクリアした事例もあります。

なお、建築不可であっても、解体するのではなく骨組みを残し、大幅なリフォームをする方法もあります。

これについては別項で解説します。

ここで紹介したのは、すべての再建築不可の不動産でできる方法ではありません。

むしろ限られたケースといえますが、検討をせず再建築不可だからと活用を諦めてしまうのも早計です。

安く評価される再建築不可の土地を、建築可能地とすることによって、価値は大きく高まります。

検討する価値は十分あるといえるでしょう。

相続した土地が再建築不可で運用が難しくなっている場合には、まず調査を行い、接道義務を満たすための方法、再建築のできるまでの手段、の検討が必要です。

境界不明確な場合のトラブル

相続した土地の売買時等のトラブルを防ぐに必須となるプロセスが、土地の現況を調べ、境界を確定する測量です。

測量は普段、めったに関わらない人が多く、一般の方はもちろん、相続実務を行なう士業でもそれほど詳しくない方が多いようです。

そこで今回は、相続時の測量について、基礎知識や注意点について解説します。

相続不動産の売却時には必須の測量

売却する際に必要となる測量が「確定測量」です。これは、隣地との境界を確定するために行います。

被相続人が土地上の家屋に住んでいた頃は、境界があいまいであっても問題になることは少ないかもしれません。

しかし、相続人が土地を処分することになると、境界を明確にする必要があります。

主に大きな問題となるのが、相続人が土地を第三者に売却する場合です。

売買契約書では確定測量図添付が求められますし、境界の不明確な物を特殊事情が無い方が購入する事はあり得ないと言えます。

境界は1センチずれているだけで、土地の値段に数百万円の差が出ることもありえますし、隣接者と争いが生じることも多々あるのです。

測量での重要ポイントは?


測量を行なう際は、まず境界標が目視できるかが重要です。

境界には、境界石が埋設されているのが一般的ですが、これが見つからない場合、隣接所有者立ち会いのもと、新たな境界標を設置し、隣地地主と境界確認書証明書を取り交わします。

隣地立ち会いのもとでの測量で調整がつかない場合、境界確定訴訟を行なわなくてはならないこともあり、多大な時間と費用がかかります。

この立ち会いがうまくいくかどうかが極めて重要になります。

トラブルは、近所付き合いのある被相続人から、なじみのない相続人に土地が相続され、信頼関係がないことも遠因となります。

地域慣習にも注意しながら慎重に進める必要があります。

依頼先により費用は大きく異なることにも注意

さて、測量についてお問い合わせが多いこととして「費用」があります。

確定測量を行なうのは、主に土地家屋調査士です。

国家資格であり、測量で行なう作業も決まっているので、どこに頼んでも費用は変わらないと思うかもしれません。

しかし、これは大きな間違いです。

測量の費用は、基本的に、隣地の数や、官有の道路との境界を調べる道路査定の有無、また、土地の大きさ、その他難易度によって決まりますが、価格はまちまちなのです。

同じ土地について査定してもらっても、数十万円の差が出ることもあります。

依頼する土地家屋調査士の事務所がどこにあるか、ということも重要です。

測量する土地の近所のほうが、実費が抑えられるのはもちろん、地域の実情を詳しく知っているためスムーズに実務が行なえ、料金が安くなる傾向があります。

まずは、土地を相続した際の測量の必要性、隣地立ち会いの注意点、売却のための必要書類の準備、などをひとつひとつ確認することから始めてみましょう。

出来れば相見積もりを取り、的確な費用で確実な仕事をしてくれる方を探すことが大事です。

境界非明示の契約は有効? 境界トラブルのリスクは?

隣地との境界は、土地の売買ではクリアしておくべき課題です。

境界が確定していなければ、売却前に測量と隣地立ち合いが必要となり、費用と時間がかかります。

そこで、実際の取引では、売主が土地の境界をはっきりと明示しないで売却する「境界非明示」の契約をすることがあります。

相続による土地の所有者から、非明示での取引は可能か、売却後に問題になることはないのかとお問い合わせいただくことがあります。

そこで今回は、境界非明示のメリットとデメリットなどについて解説します。

非明示の特約 法律の扱いとは?

一般的に不動産売買の際は、境界明示の義務は売主が負うのですが、隣地の所有者が不明である場合などで、明示せずに売ることもあります。非明示の特約は法律上有効とされています。

売主にとってのメリットは、測量や隣地立ち合いなどの手間を省くことができるため、早く処分できるということがあります。

相続のケースで多いのが、離れた土地や、なじみのない地域の不動産を相続し、時間と費用を使って、測量や隣地立会いなどをしたくないため、手早く売りたいというニーズです。

後のトラブルで責任問題が生じることも

非明示としたうえで、売却した後に、境界トラブルに巻き込まれないようにすべきです。

たしかに特約を付ければ非明示で売ることはできるのですが、これで隣地との境界問題が解決したわけではありません。

買主と隣地の地主との間で、境界トラブルが発生することはあります。

境界確定では、測量や隣地立ち合いなど、多額の費用が掛かります。

また、訴訟となれば長い時間と費用が掛かります。

その際の責任問題が、再び売主と争われるケースもあります。

非明示のままの契約それ自体というよりも、境界確定に伴う責任を、契約上どちらが負うことになっているのか、という部分が問題になるといってよいでしょう。

境界の問題は、隣地とトラブルになったことが一度もなくても、その土地が取引の対象となったり、持ち主が変わることで初めて表面化します。

境界非明示による不動産売買は、リスク、デメリットを理解し、あいまいな契約をすることは絶対に避けましょう。

相続した建物の老朽化によるトラブル

相続した不動産の前所有者である被相続人は、その土地にゆかりがあり、なんらかの管理をしている場合が多いものです。

しかし、相続人は現地の事情を知らないが故に、放置しがちになります。

これが近隣トラブルの原因となります。

建物は、使用・管理をしないと急速に老朽化します。

倒壊などにより、周囲に重大な危険を及ぼす事故は後を絶ちません。

また、空き地に自転車が乗り捨てられたり、処分に費用の掛かる電化製品が不法投棄されたりといったこともよく起こります。

不法投棄は一つあると、それをきっかけにどんどん増えます。

あなたの所有する不動産が、地域の景観、環境の悪化の原因になることがあるのです。

不動産に関する事故は急に起こる

こういったトラブルの怖さに、重大な事故が急に起こることがあります。

老朽化した建物が、地震や台風などにより、倒壊したり、屋根瓦や建材が飛ばされたりすることで、重大事故に発展することは多くあります。

私が見たケースでは、空き家に車が突っ込んだ跡があり、逃げられていたという例があります。

犯人は見つからず、破損した建物を放置するわけにもいきません。泣き寝入りで後処理をすることになってしまいました。

そして更なる問題は、隣地の方からの連絡を受けるまで知らなかったということです。

こういった事態は、所有者にとって寝耳に水であっても、管理者としての責任を免れることはできません。

解体や管理などの方法を検討する

使わない家屋は解体しておけば事故のリスクは減ります。

買い手がつく土地であれば、解体したほうが売れやすくなる場合もあります。

空き家を解体すると、固定資産税が高くなるので難しい判断になりますが、大きな事故に発展する危険がある場合は、対策すべきでしょう。

残念ながら、買い手がおらず処分が難しい不動産はあります。

その場合でも、対症療法にすぎませんが、トラブルのリスクを下げる管理はしておくべきです。

倒壊や剥落などの危険があるものを取り除くのはもちろん、建物の清掃や除草などは最低限行いたいものです。

気温や湿気が上がる5月から8月は特に、状況を確認しておきたいところです。

草刈りやハウスクリーニングは、しかるべき対価を支払い、近隣の方に頼む方法もあります。

近隣の皆さんとの信頼関係を作ることも、トラブル防止には重要なことです。



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