再建築不可物件の最後はどうなる?

再建築不可物件の最後はどうなるのでしょう?

再建築不可物件に興味はあるが、出口が無ければ・・・

というのが再建築不可物件に対する考えの大多数です。

では再建築不可物件は将来的にどうなっていくのでしょう?

合法的に再建築不可物件を維持していく事は可能なのか?

子供や孫に対する負債とならないのか?

プロの不動産業者が考える、再建築不可物件についての本当の所をお伝えしてみます。


再建築不可物件の最後はどうなる?

再建築不可物件の最後はどうなる?という質問の答えの前に、原理と言うか、当たり前の前提について述べておきます。


もし、再建築不可物件に簡単に出口があるのであれば、プロである不動産業者が見逃すはずがありません。

だってそこに利益が見えているわけですから。


皆さんに基本的に知っておいていただかないといけない基本として、

表に出てきている物件は既に不動産業者が購入しないという判断をしている物件

であるという事です。

つまり、不動産業者が購入して利益を見込める状況であるかどうか?という判断がなされていて、NO!という判断をしていると言う事なのです。

その判断基準は、基本的には価格的な部分ですが、仮に賃貸等で利益が出たとしても、最終的には負債になるのが確実であり、その計算をビジネスとして行った結果なのです。


プロが判断して”買わない”という判断をした物を、素人の一般人が購入したとして、最終的に利益になるのか?と聞かれると、かなり難しいとしか言いようがありません。

つまり、再建築不可物件は最終的に負債となると言う事は絶対的に認識しなければいけない事なのです。


なぜ再建築不可物件は最終的に負債となるのか?


再建築不可物件は大規模な修繕ができない事を理解しておかなくてはいけません。

表面のリフォームだけではいずれどこかでダメになるときがやってきます。

屋根や外壁などの主要構造部についての過半部分の面積を修繕する場合は、建築確認が必要になります。

つまり、合法的には補修できないんですね。

※木造2階建ての建物等は該当しませんので、大規模修繕が可能です。

構造躯体がヤバイ物件は賃貸するわけにはいけないでしょう。

なので、どこかで再建築不可物件は最終的に負債となるのです。

それが10年後なのか、20年後なのかはわかりません。

しかし、確実にそうなるのです。

再建築不可物件の未来
  1. 当面は賃貸収益
  2. この期間はプラスになる可能性
  3. 賃貸できなくなる
  4. ランニングコストのみ発生しマイナスに(管理義務有り)
  5. 解体or放置
  6. 解体費用とランニングコスト(管理義務有り)
  7. 放置した場合⇒行政代執行
  8. (行政代執行費用とランニングコスト(管理義務有り))
これらは他人に売却できない場合になる出来事です。
そもそも、普通の物件ですら0円物件が出てきていますので、処理できるという考えはかなり甘い見通しだと認識しましょう。




再建築不可物件の最終的試算の考え方


再建築不可物件は最終的に負債となるとして、じゃあどのように負債になるのか?についてです。

必ずかかるランニングコスト
  • 固定資産税
  • 管理費用
  • 解体費用

これらは必ず必要なコストです。

固定資産税は当然ですが、再建築不可物件だからと言って割安にはなりません。

また、物件の管理に掛かる費用も定期的にかかります。草抜きや保険の費用などですね。

そして、何かしら事件や事故が起こった場合は賠償責任も発生します。


解体前の年間固定経費

固定資産税

50,000

管理費用

150,000



200,000


解体後の年間固定経費



固定資産税

300,000

管理費用

150,000



450,000



解体費用 約 1,500,000 円


固定資産税が一律5万円
草抜き、保険等が年間15万円

と仮定します。

年間20万円の最低限のコストと賠償責任のリスクが付きまといます。

そして解体を考えた場合です。

30坪程度の木造の家ならば、私の地域であれば750000円程度で壊せます。

しかし、重機やトラックの関係で倍くらいのコストは覚悟しなければいけません。

1,500,000円程度ですね。

これを無視して放置をし続けると、どこかで行政代執行が行われます。

恐らくコストはそのさらに倍近く・・・・

300万円程は見ておく必要があるでしょう。

さらに固定資産税は6倍になり、年間30万円程度になります。

これらがある日突然、子供や孫に降りかかるのです。


一番悲惨なのは、この行政代執行による解体工事が行われた場合ですね。

ただでさえ、再建築不可物件は解体工事が割高になる事がほとんどです。

道が狭いので、大きな重機や搬出トラックが入れない訳ですから、当たり前です。

下手すると人力で解体し、運ばなければいけないような現場もあります。

それを公共工事で行うわけですから、かなりのコストが掛かってくるわけです。


仮に家賃を月5万円づつ10年間得たとしましょう。

固定資産税を年間5万円(土地:200㎡以下 建物非課税)と仮定すると、

収入は600万円 - 50万円= 550万円です。

その間、税金や経費が当然かかりますから、実収入はそれなりに減ります。

場合によりますが、400万円も残れば良い方ではないでしょうか?


この残るだろう数字と、貸せなくなってからのランニングコストとリスクを照らし合わせて考えて見ましょう。



相続土地国庫帰属制度を利用したとすると

相続土地国庫帰属制度を利用して責任を回避するとしても、解体と測量は最低限必要です。

加えて100万円前後の審査手数料​​と​​負担金​​が必要になるケースがほとんどです。

相続土地国庫帰属制度

解体費用

1,500,000

負担金

1,000,000

測量費用

600,000



3,100,000


尚、全てを引き取ってもらえるわけではありません。

引き取ってもらえる場合に最低限必要な費用だと考えてください。

引き取ってもらえない場合は、やはり毎年のランニングコストが発生する事を理解しておきましょう。



賃貸収入で仮に400万円程あったとしても、住まなくなってからのコストとリスクを考えると割に合わないのです。

そもそも売れる事を前提にする事は決してしてはいけませんので、相続人には最低限310万円の負債を抱えた状況になり得ると考えなければいけません。

更地で相続したとすると、売れない、放棄できない場合には、毎年約45万円がランニングコストで発生すると考えなければいけません。

要は、余程明確な出口戦略が無い限り、再建築不可物件は負債にしかならないのです。

だから、プロである不動産業者は、利益が見込めない場合には手を出さないのです。

再建築不可物件の最後はどうなる?の答えは負債である

出口が無い再建築不可物件は買うな!

再建築不可物件の最後はどうなる?の答えは負債である事はご理解頂けたと思います。

日本の未来は、消滅可能性都市が多く存在する状況であり、不動産の購入者も減少していきます。

当然ですが、賃貸で借りる人の数も減ります。

わざわざ問題がある不便な土地建物を借りる必要性が無くなるのは、小学生でもわかる理屈と言えます。

考え方として、手放せるという確定的な出口が無い場合は、単純に負債としか言いようがありません。

目先の賃貸利益などで目が曇る可能性はありますが、十分その部分の計算はしておきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です